アイミ日記

ミシンのヒント6 電子ミシンと、コンピュータミシン

よくご質問で「電子ミシンとコンピューターミシンは何が違うの?」と聞かれます。
大きく違うのは、ジグザグ縫いなどのときの針の動かし方です。

コンピュータでジグザクを縫う場合、メイン基板から針を動かす専用モーターに「左に針を振れ、右に針を振れ」と命令が行き、ジグザグが縫われます。

これにかわって、電子ミシンの場合は、アナログ時計の中身ように、メカ的な部品の動きで針を動かします。(上の写真の黒い歯車のかたまりが模様カムです。これを使って針を左右に動かします。)

見分け方としては、現行の機種の場合、縫い模様を選ぶときダイヤル式で回すとき「ガチャガチャ」と手応えがあるものが電子ミシンです(この音は先ほどの模様カムなどを動かしている音です)。

電子とコンピュータ、もちろんそれぞれメリット・デメリットがあります。

まず、コンピュータミシンのおもなメリットをあげます。

○ 縫い目のあらさ、針の振り幅に
  初期値(デフォルト)がある。
  → 縫い目によって適切な「あらさ」
   「振り幅」が決まっており、
    電源を入れれば設定しなくても、
    すぐ縫えます。
    また、数値を変えても、電源を
    切り/入りすれば元に戻ります。

○ エラーメッセージや、サポート
  メッセージが出る機種がある。
  → 押え金を上げたままだと
    動かなかったり、糸が無く
    なると知らせてくれたりする
    機種があります。
    使う方を手助けしてくれます。

○ ボタンホールが比較的きれい。
  → 常に同一方向にかがり縫いを
    進めるため、左右で目のあらさに
    差がなく、なきれいな仕上がりに
    なります。

○ トラブル安全装置が強めにきく。
  → 糸がらみや、固い生地に針が
    刺さりづらいとき、モーターを
    守るために自動停止します。

○ 針落ちを左右にずらすことができる。
  → ほとんどのコンピュータミシンは、
    針が降りる位置を左右に動かし
    微調整できます。

○ 自動糸切り、自動返し縫い、
  複雑な縫い模様、刺しゅうができる
  機種がある。
  → この様な機能は、電子ミシンには
    できません。

また、コンピュータミシンでよくある、「勘違い?」をご紹介すると・・・。
● コンピュータミシンは、難しい?
  → そんなことはありません。
    ミシンのコンピュータとは、
    パソコンのように何かを新しく
    覚えなければならないような、
    面倒なものではありません。
    ただ単に、使う方を手助けして
    くれるだけの機能なので、
    身構える必要はないのです。

● コンピュータミシンは壊れやすい?
  → 別段、壊れやすいということは
    ないと思います。
    種類によらず、壊れるときは
    壊れます・・・。

    ただ言えることは、もし大きく
    故障した場合、部品代は電子より
    コンピューターミシンの方が
    高くつくのは間違いありません。

● コンピュータの自動糸調子は完璧?
  → 現行の機種の場合、自動糸調子の
    精度は電子もコンピュータも
    変わりません。
    「なんでもコンピュータがやって
    くれる」というような過度な期待は
    禁物です。

    完璧に近い自動糸調子は
    ベビーロックさんの「糸取物語」
    以外に存在しないのではないで
    しょうか?

● コンピュータミシンはパワーがある?
  → 残念ながらそうとも言い切れません。
    特に、低価格のコンピュータミシン
    にはパワーを期待しない方が
    いいです。
    そのようなミシンは決まって軽量で、
    厚物が苦手です。

ここまで書くと、すべての面において、電子ミシンよりコンピュータミシンの方が優れていると思われるかも知れませんが、そんなことはありません。

実は、ミシンはある意味、もうずっと昔にすでに完成してしまった機械なのです。
足踏みミシンも、最新のコンピュータミシンも基本的な仕組みは驚くほど一緒です。
確かに現在のミシンは便利な機能はたくさん付いてますが、どれも必要不可欠・・・とは言いにくいのです。

その証拠に、ミシンをお探しの方の多くが、こうおっしゃいます。
「色々な機能はいらないの、刺しゅうとかもしないし。ただ直線だけが縫えればいいので、お値段が手頃なミシンはないの?」

そんな方にピッタリなのが電子ミシンです。

シンプル・イズ・ベスト!
直線を縫う分なら、電子もコンピュータも違いはありません。
直線をきれいに縫うことに関しては、実はコンピュータはほぼ何もしていないのです(上下する針棒の横で、ただボーッと見ているだけです)。

そして、電子ミシンなら、価格はコンピュータより比較的安くおさえられてます。
(ただし、安価で質の低いコンピュータミシンはのぞきます。1〜2万円の安いミシンもたくさんありますから。ただ、この手のミシンは、本来ミシンとして必要不可欠な部分を削ぎ落として「安価」を実現しているので、お勧めはできません。)

あと、電子ミシンは壊れたとしても、修理代は比較的安く済むのが普通です。
また、精密部品が少ない分、寿命も長くなります。

それでいて、(機種によっては)パワーはひょっとしたら高級コンピュータミシンよりあるかも知れません。
コンピュータ制御ではないので、多少モーターに負荷がかかっても限界まで動いてしまいます。

現在、ほとんどのミシンはコンピュータ化してます。
電子ミシンは少数派です。
いいコンピュータミシンもたくさんありますし、電子ミシンにもおすすめできない機種があります。

各メーカーいろんなミシンを出していますが、どんなミシンでも本来求められるべきは、まずミシン自体の骨格(造り)であり、それが一番重要なのです。

ミシン屋さんや、ミシン売り場にお出かけの際は、細かいスペックなどは気にせず、まずはそのミシンを持ち上げてみてください。

ひょいっと軽々と持ち上げられるようなら、要注意です!
部品がプラスチックだらけのミシンかも知れません。

逆に、「うっ、けっこう重いなぁ」と感じられるミシンなら、まともないいミシンかも?
あとはその「重めのミシン」に、ご自分に必要な機能があるかどうかを調べて、買うかどうかを決めるのがいいと思います。

最後までご覧いただき、ありがとうございます。
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