アイミ日記

ミシン修理レポート4 ブラザー アニュドール1 はずみ車が重い

今回お預かりしたミシンは、ブラザーさんのアニュドール1です。
症状は、はずみ車が重くなり、使い続けていたらこげたような匂いがしてきた、というものです。

さっそく分解して、固着が起きそうな箇所を、ひとつひとつ調べていきます。
どうやら、下軸の右側の丸型の軸受けが固まっているようです。

本来、軸受けはミシン本体に固定されていて、その軸受けの中で軸が抵抗なく回転するものなのですが、発見した時は、軸受けと軸が完全に一体化していて、軸受けごとしぶしぶ(?)動いている状態でした。

他のメーカーさんの場合は、かなり苦労して下軸全体を抜き出す必要があります。
しかし、ブラザーさんのミシンの構造はとても特徴的で、送りや針棒など各ユニットが独立していて、割と簡単に取り外すことができます。
修理をする者としては、大変に有り難いです(涙)。

写真中央の丸い玉のようなものが軸受けです。
カチカチに固まっていたのですが、なんとか左側にずらすことができました。
あらわれた軸の固着部分は、真っ黒に焼きついていました。

これを紙やすりを使って、根気よく磨いていきます(手も真っ黒になります)。
きれいに磨き終わると、滑らかに回転するようになりました。

これで峠は越えたと思い、仮組みしてから、はずみ車を手で回してみると、、、
あれ??? まだ、重い。

どうやら、外釜の軸も固まりかけていたようです。
これもばらして、軸を磨いていきます。

お客様からのよくある質問で「家庭用ミシンは油はどこにさせばいいの?」というものがあります。
実は、現在の家庭用ミシンは、油をさす必要がない設計になっています。
これは、軸受けに含油メタルというものが使われており、適度な使用頻度であれば金属に含まれた油が染み出してきて、油をささずともミシンを使うことができるのですが、残念ながらまれにこのように固着が起きることも事実です。

本当はすべての軸受けに、分解の必要なく簡単に注油できれば一番良いのですが、、、。


予防策としてはミシンを定期的に、かつ適度にお使いいただくことです。
毎日のように長時間使ったり、逆に1年以上まったく使わなかったりすると、固着しやすいようです。
なんともいえませんが、週に数回、1回1〜2時間の程度のご使用が理想でしょうか。

他の不具合としては、内釜に大きめなキズがあったので、これを交換しました。
また、自動糸通し器の破損、針板と外釜剣先のキズ、針落ちのずれなどを修正し、十分に試縫いを行って修理完了です。

最後に、、、
今回のように、はずみ車が重くなったり、ミシンの動きがにぶくなったら、それ以上ミシンを動かさないでください。
そのまま使い続けるとモーターに負荷がかかり、最悪、高価なモーターがダメになることもあります。

最後までご覧いただき、ありがとうございます。
このブログでは、ミシンを使う上でのちょっとしたヒントや、ミシン修理レポート、お知らせ、雑記などを不定期で載せております。
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<ご注意> 
この記事は、「ミシンの修理をおすすめするもの」ではありません。
経験のない方がミシンを分解するのは、非常にリスクが伴います。
軽はずみな分解をおこなったために、その後、修理不能となるケースがありますので、ご注意ください。